ローバーミニのライバル車とは?
1959年に誕生、2001年に販売が終了するまでローバーミニ(クラシックミニとも呼ばれています)は大きく基本設計を変更せず、長く愛されてきました。ローバーミニに限った話ではありませんが、何十年も愛されて生産されてきた車は21世紀の安全基準や環境基準をクリアすることができず、ローバーミニや古いVWビートルのようなクラシックカーの新車販売はすでに終了してしまいました。ただし、そういった車を求める車好きは今も少なくありません。一部の富裕層にしか手が出せない高級なクラシックカーは博物館で眺めるしかありませんし、購入できたとしても整備や修理には想像以上にお金がかかりますし、コンディションを維持するための部品の調達が困難な場合もあります。しかし、ローバーミニのような一部のクラシックカーは手ごろな値段で中古車が購入でき、維持コストもそれほど高額ではありません。日本では古い車のオーナーであっても日常的にドライブに出かけるなど、気軽に走らせることができるのを前提に購入する方も多いです。その車を整備できる信頼できるメカニックが数多くいて、部品供給もしっかりしていることも気軽に乗るためには重要となってきます。そんなクラシックカーとなると、ローバーミニや今回紹介するライバル車種をはじめ、一部の車しか選択肢はありません。そこで今回はローバーミニとその他のクラシックカーを比較し、ローバーミニの魅力を紹介することにしましょう。ローバーミニの歴史や中古車購入ガイドについては下記リンクのローバーミニの基礎知識の記事をご覧ください。
VWビートルが代表的なライバルだが、フィアット500もライバルと言える?
ローバーミニを購入する人で他の車と悩む人はそれほどいないかもしれません。しかし、「レトロなデザインで手ごろな値段の車が欲しい」と思っている人のなかにはローバーミニとVWビートルで悩む人も少なからずいます。また、ローバーミニのコンパクトな可愛らしさに魅力を感じる人には古いフィアット500(NUOVA 500など)も選択肢に入ってくることもあります。フィアット500の中古車販売台数は日本では非常に少ないのですが、ローバーミニの魅力を伝えるのにはちょうどいい車なので比較対象として紹介させてください。これらの車の購入で迷った際は最終的にはデザインや直感で決めていいと思いますが、それぞれの車のボディサイズやおおよそのスペック、価格帯を知った上で検討した方がいいでしょう。そこで下記でスペックなどのデータを紹介しますね。
ローバーミニとライバル車のスペック一覧
下記で紹介しているのはあくまで各モデルのスペックの一例です。年式やグレードによって排気量やエンジンパワーが違う場合がありますし、ボディサイズに多少の違いがある場合もあります。
ローバーミニ | フォルクスワーゲン | フィアット | |
---|---|---|---|
ミニクーパー | ビートル(1200LE) | 500(NUOVA 500) | |
全長(mm) | 3,075 | 4,090 | 2,972 |
全幅(mm) | 1,530 | 1,550 | 1,320 |
全高(mm) | 1,330 | 1,505 | 1,320 |
ホイールベース(mm) | 2,035 | 2,400 | 1,838 |
重量(kg) | 760 | 830 | 490 |
排気量(cc) | 1,271 | 1,584 | 479 |
最高出力(ps) | 53ps | 48ps | 21.3ps |
最終生産年 | 2001 | 1978(メキシコ生産は2003年) | 1977 |
ローバーミニと比較されやすいVWビートルですが、ボディサイズは圧倒的にローバーミニの方が小さいですね。全長で102.5㎝、全高は17cmほどローバーの方がコンパクトとなっています。VWビートルは現代のコンパクトカーと変わらないボディサイズなので、駐車スペースに制限がある人は注意した方がいいでしょう。また、エンジンパワーはローバーミニが1271cc、ビートルが1584ccと排気量に差はありますが、最高出力で言うとビートルの方が低くなっています。ただし、こちらの表で取り上げた数値はローバーミニがほぼ最終型の1999年式ミニクーパー、ビートルは1978年式の本国生産最終型の1200LEで、時代が違うモデルを比較しているのでフェアな比較ではありませんね。ビートルは本国での生産終了後も2003年までメキシコでライセンス生産されており、メキシコ生産モデルはエンジンに改良が加えられ、ローバーミニの最終型とほぼ同じ最高出力となっています。ちなみに、ローバーミニ、ビートルはともに専門店の数も多く、部品供給も安定していますが、中古車の販売台数では圧倒的にミニの玉数の方が多く、選択肢が豊富です。中古車の価格帯はどちらも100万~200万円が中心価格帯で、ローバーミニは玉数が多い分、未整備の車両は格安ですし、しっかりとレストアされた車両は200万円を超えることも珍しくありません。
コンパクトさではフィアット500が上だが、エンジンはローバーミニより非力
次にフィアット500との比較ですが、古いフィアット500はローバーミニやビートルほどの中古車販売台数が無く、販売車両を見つけるだけでも大変です。次にローバーミニとフィアット500のボディサイズについてですが、全長は大きくは変わりませんが、全幅は21㎝も小さく、フィアット500の見た目でのコンパクトさは実際の数値差以上に感じられるでしょう。フィアット500のエンジンは479cc(もう少し排気量の大きなエンジンもありましたが、それでも6L以下)しかなく、最高出力も21.3psしかありません(最高速度は98㎞)。現代の道路事情では街乗りから高速まで気軽に楽しめる車というワケではないですね。また、日本で販売されている中古車が非常に少なく、レアなため販売価格は100万円台後半~なのを覚悟しておいた方がいいでしょう。フィアット500はイタリア本国では今も日常的に使われている車なので部品供給に問題はありませんが、トラブル時の部品の手配には少し時間がかかるかもしれません。
マニアックな車種ではシトロエン2CVもライバル?
他にも1990年まで生産されたシトロエンの2CVと比較する人も(わずかですが)いるでしょう。ボディサイズだけ紹介しておきましょうか。2CVは全長×全幅×全高が3,830×1,480×1,600mmとなっており、ビートルに近いボディサイズです。しかし、エンジンは6Lとフィアット500並みの小排気量で充分なパワーはありません。ただし、それを理解した上で楽しむのならフィアット500も2CVも非常に魅力的な車ですよ。
ローバーミニは玉数、中古車価格、整備態勢のすべてが充実
ローバーミニは80年代、90年代の日本で人気だったため、中古車が豊富にあります。なかでも人気なのは1992年以降のインジェクションモデル(コンピューター制御で燃料噴射を行う仕様)ですが、インジェクションモデルだけでも600台弱の中古車が販売されています(ビートルはローバーミニほど中古車は充実していません)。また、コンディションのいいローバーミニでも200万円前後で入手可能で、これほど手ごろな価格で購入できるクラシックカーはローバーミニとVWビートルくらいでしょう。また、クラシックカーは購入後に信頼できるメカニックにどれだけ定期的に整備してもらえるのかが重要になってきますが、嬉しいことにローバーミニの専門店は全国にあります。メカに自信がない人でも安心して乗り続けられる環境が整っていますよ。こういった点を踏まえると、現代でも安心して楽しめるクラシックカーとしてはローバーミニがイチオシとなります。
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