BMW 2002ターボ（1973～1975年）

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BMW 2002ターボのモデル紹介

航空機技術で培ったターボエンジンを量産車初搭載

1973年、世界はオイルショックに見舞われ、自動車メーカーは燃費の向上や排ガス対策に追われていました。そんな逆風の中で開催されたフランクフルトモーターショーで、世界初のターボエンジンを搭載したBMW2002ターボが発表されます。当時ターボエンジンはBMWとポルシェがツーリングカーレースを通じて、実用化に向けて凌ぎを削っていました。BMWは航空機エンジンで培った技術によって02シリーズの最高峰モデルとして、ポルシェターボに先んじて2002ターボの市販化を実現したのです。2002ターボのルーツを辿ると1966年に登場したBMW1600-2にたどり着きます。4ドアセダンのBMW1500をベースに、ホイールベースを50mm短縮させた2ドアモデル、それがBMW1602です。デザイン上、フロントグリル周辺はBMW1500に似ていますが、全くの別の物を採用し、リアのテールランプも丸型となっています。さらに1968年に1.9L直列4気筒SOHCエンジンを搭載したBMW2002を発表、2002をツインキャブレター化した2002ti、そして1971年にはクーゲルフィッシャー製の機械式インジェクションを採用した2002tiiを発表します。こうして燃料噴射装置を進化させ、1973年にいよいよ、量産車初のターボエンジンを搭載したBMW2002ターボの発表に到りました。まさに2002ターボは02シリーズの究極バージョンとして登場したといえるでしょう。しかし、オイルショックの逆風には勝てず、2年を待たずしてわずか1672台で生産中止となった時代に左右された悲劇のBMWでした。

BMW 2002ターボのスペック

最高速度は211km/hを実現し、BMW3.0CSと互角の性能

BMW2002ターボのボディサイズは全長4220mm×全幅1620mm×全高1410mm。ベース車となった2002tiiより全長が10mm縮小される一方で、全幅は30mmワイドとなっています。搭載されるエンジンは1.9L直列4気筒SOHCターボでクーゲルフィッシャー製のメカニカルインジェクション。そしてKKK製のターボチャージャーを採用し、最高出力170ps（グロス）、最大トルク24.5kg-mを発生。2002tiiより30％もの出力アップを実現しました。車両重量はわずか1060kgと軽量なため、最高速度は211km/hを実現し、BMW3.0CSと同じ数値を記録しています。ミッションは4速MTと5速MTを用意。またトレッドはフロントが1375mm、リアが1362mmと拡大され、さらにブレーキはフロントが冷却性能に長けたベンチレーテッドディスクを採用し、リアのドラムブレーキは容量が拡大されています。

BMW 2002ターボの特徴

ワイドフェンダによりツーリングカーさながらの迫力

BMW2002ターボはフロントバンパーを無くして、エアロパーツを装着し、そこには鏡文字でTURBOと書かれたステッカーが貼られていました。これは前を走るクルマのルームミラーに映った時にノーマルの02シリーズではないことをわからせ、プレッシャーを掛けるためといわれています。その後、日産スカイラインが2002ターボと同じよう鏡文字でターボとバンパーにステッカーが貼っていたのはBMW2002ターボを真似したのでしょう。そして185/70R13というワイドなタイヤを装着するために、前後のフェンダーはオーバーフェンダー化され、リアのラバー製スポイラーとのシナジー効果によってよりレーシーな印象を強めています。

BMWの歴史の中の位置づけ

M3・M4のルーツといえるモデル

BMW2002ターボは現在のBMW2シリーズ（F22/F23）のルーツといわれています。付け加えるとすれば、コンパクトなボディにハイパワーなエンジンを搭載し、ツーリングカーレースでサーキットを活躍していたことを鑑みればM3、M4のルーツといえるモデルとも言えるでしょう。BMWのハイパワーモデルを語る上で、外すことのできないモデルの一つがBMW2002ターボでしょう。