手はかかるが、愛好家が多いクラシック・ミニ
1959年から2000年にかけて生産されたクラシック・ミニ(ローバーミニ)には今でも世界各地に愛好家がおり、日本各地に専門店があります。現行ミニよりさらにコンパクトでレトロなデザインが人気で、女性からも評判がいいのが特徴です。ただ、クラシック・ミニは現代の車のように気軽に乗ることができる車ではありません。部品供給はカスタムパーツも含め安定していますが、最新でも2000年のモデルになるため、現行のミニに比べるとトラブルが多いのは覚悟する必要があります(日本では新車登録から13年を経過した車両は自動車税が10%ほど高くなります)。
また一部の古いモデルは発電機が貧弱なのでエアコンやオーディオの取り付けもオススメできません。少々のトラブルといくつかの我慢、現行車より少し高い維持費がかかるのを覚悟し、「それでもまだ乗りたい」という人にだけにクラシック・ミニをオススメします。ただし、クラシック・ミニは40年以上の歴史を持ち、排気量やグレードにさまざまな違いがあります。そこで、この記事ではクラシック・ミニ入門として、1959~2000年のミニの進化の歴史をエンジンの変遷中心に紹介します。わかりやすくクラシック・ミニを紹介するため、記事は便宜上ベーシックモデルとクーパーシリーズの2本に分けて執筆しています。
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1. 1959~1967年:Mk-1(マークワン)
スペック
- 通称:Mk-1
- 年式:1959~1967
- 排気量:848㏄
- 最大出力:34ps/5500rpm
- 最大トルク:6.08kg-m/2900rpm
- 車両重量:600㎏
* Photo by DeFacto
非力だけれど軽量コンパクト、高燃費なミニ
1959年に登場した初代ミニはイギリス最大の自動車メーカーBMC(British Motor Corporation)の傘下にあったオースチンとモーリスの2社で販売され、オースチン・セブンとモーリス・ミニ・マイナーの2つの名前で販売されました。どちらもエンブレムなど一部を除けば同じ仕様で、848㏄のエンジンが採用されています。初代モデルの最高出力は34ps/5500rpm、最大トルクは6.08kg-m/2900rpmと現代の車と比較すれば大変非力ですが、車両重量は600㎏しかありません。現在の軽自動車と数字を比較すると最高出力、最大トルクともに約半分ですが、重量は2/3ほどしかないのです。
ミニは中東の石油危機で燃料が高騰したのを機に開発された車なので、50年以上前の車なのに燃費は現代のミニと比較しても遜色ありません。車体の整備状態、コンディションによりますが、実際の燃費は10~15km/Lほどの数字となっています。なお、848㏄の初代エンジンを搭載した車はMk-1(マークワン)と呼ばれています。
2. 1967~1976年:Mk-2、Mk-3(マークツー、マークスリー)
スペック
- 通称:Mk-2(Mk-3も初期モデルはほぼ同スペック)
- 年式:Mk-2 1967~1969、Mk-3 1969〜1976年
- 排気量:998㏄
- 最大出力:38ps/5250rpm
- 最大トルク:7.2 kg-m/2700rpm
- 車両重量:620㎏
* Photo by Lokal_Profil
998㏄のMk-2エンジンの登場
クラシック・ミニのエンジンは1967年に998㏄化され、新エンジンを搭載したモデルはモデル名称の後にMk-2(マーク2)の名が付くようになりました。Mk-2エンジンは38ps/5250rpm、7.2 kg-m/2700rpmとなりました。ただし、Mk-2エンジンは上級モデル(ミニ・スーパー・デラックス・サルーン)のみに搭載し、ベーシックモデル(ミニ・サルーン)には従来の848㏄エンジンが搭載されていました。なお、この時代のミニはAT(現代のオートマとは操作が違います)がオプションで選択できるようになっています。正確にはMk-2エンジンの登場前、1965年からATモデルが設定されています。
70、80年代のエンジンに大きな変化は無い
Mk-2が登場してわずか2年後にミニはモデルチェンジし、以降のモデルはMk-3(マーク3)と呼ばれています。モデルチェンジを受けたと言っても、エンジンのラインナップはそれまで通り848㏄と998㏄の二本立てで、エンジン内部も圧縮比や変速比がわずかに変わった程度です。1970年代に入るとドライブシャフトや発電機(従来のダイナモからオルタネーターへ)などが変更されます。
エンジンは圧縮比の変更などで少しずつ性能は伸びていきますが大きな変化はありません。エンジン以外の特筆すべき変更点だと、1984年から12インチホイール採用され始め(従来は10インチホイール)、ホイール径が大きくなったことでディスクブレーキの採用が可能になったことでしょうか。なお、日本へのミニの正規の輸入は1976年から1984年まで停止されていました。この間に輸入されていたモデルは並行輸入モデルになります。
なお、Mk-3などのクラシック・ミニを表す名前はシャシーやエンジン種別などマイナーチェンジが行われた時期で区切られています。マニアの間ではMk-3(1969~1976年)以降もMk-4(1976~1983年)、Mk-5(1984~1989年)、Mk-6(1990~1996)、Mk-7(1997~2000)とされています。Mk-4以降の名称についてはあまり一般的ではなく、また海外と日本ではニューモデルの導入時期が違うため、人によって各名称が指す期間が違うことがあります。
3. 1992~2000年:インジェクションミニ
スペック
- 通称:インジェクションミニ
- 年式:1992~2000
- 排気量:1271㏄
- 最大出力:53ps/5000rpm
- 最大トルク:9.3 kg-m/2600rpm
- 車両重量:710㎏
1992年、インジェクションモデルの登場
1984年にオースチン・ローバー・ジャパン(後のローバー・ジャパン)がミニの正規輸入を再開したことで、日本でのミニ人気に火が付き始めます。ローバー時代のミニの最大のターニングポイントは1992年のインジェクション(燃料の電子制御)採用の1271㏄モデルの登場でしょう。ヨーロッパでの環境規制の強化に備えてモデルチェンジされた新エンジンは53ps/5000rpm、9.3 kg-m/2600rpmと従来の1Lエンジンと比べて大幅にエンジン性能が向上しています。このエンジン性能は現代の軽自動車と比べると見劣りする数値ですが、車両重量が710㎏(1959年の初代ミニは600㎏、現代の軽自動車は1000㎏前後)しかありません。
先代の1Lエンジンについて補足しておくと、Mk-2エンジン初期の998㏄エンジンは38ps/5250rpm、7.2 kg-m/2700rpmでしたが、インジェクション登場前の999㏄エンジンは46ps/5250rpm、6.8 kg-m/2700rpmと性能はMk-2時代より向上しており、1Lエンジンが60年代半ばから進化していなかったわけではありません。
なお、インジェクション仕様のミニは1992年~1996年までの前期と、前期モデルの問題点が改善され、エアバッグが搭載された1997年~2000年までの後期モデルに分けることができます。一般的には後期モデルが安心とされていますが、後期モデルはコストダウンが行われドアなどに錆びが出やすいという声もあります。すでに生産中止になっているローバーミニですが部品供給に問題はなく、それどころかカスタムパーツも豊富に揃っています。信頼できる販売店さえ見つけ、マメな整備を怠らなければ、末永く付き合っていくことができるでしょう。なお、ローバーミニはAT車のラインナップもありますが、90年代以降のモデルを除くと中古市場で流通しているモデルの多くはMT車です。
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