こんにちは、ジオミックの鈴木です。ジオミックに入社して、4ヶ月目になりました…。そろそろ「新入社員だから、そのパーツのことはよくわかりません!」とは言えなくなってます(笑)。ミニのチューニングをゼロから学ぶこのコーナー、第2回はサスペンションについて勉強していきましょう。車の世界では「車高調(しゃこちょう)」と呼ばれることもありますね。サスペンションは車体とホイールの間に取り付けられる太いバネのようなパーツです(正確にはそれ以外の部品も含めてサスペンションですが…)。
ミニの下に潜らないと見えませんが、何となくイメージはできるパーツではないでしょうか。では、サスペンションについて勉強していきましょう!
GIOMIC
鈴木 彩さん
兵庫県姫路市在住。数台の国産車を経て、2012年にミニ クーパー クロスオーバーを購入。クロスオーバーに乗り始めたのを機にミニ仲間の輪が広がり、現在のR56 JCWに至る。ミニ好きが高じて2015年1月からジオミックのスタッフになった。
目次
サスペンションとは
サスペンションの基本的な役割
チューニングでのサスペンションの役割をお話する前に「そもそもサスペンションって、何のためのパーツなの?」を紹介しましょうか。バネのようなパーツということから、ビヨンビヨン跳ねるパーツなのはおわかりでしょう。では、なぜビヨンビヨンと跳ねるのか…。それは車の姿勢を制御するためです。
凸凹な道をミニで走っているのを想像してください。右前のタイヤだけが盛り上がった道を通過した場合、もしサスペンションがバネ状ではなく、ただの棒だったら…ミニの右前が持ち上がってしまいますよね。そうやって姿勢が崩れてしまうとハンドル操作が不安定になりますし、タイヤが地面にちゃんと接地せず、ブレーキも効きにくくなってしまいます。
サスペンションは路面の凸凹に対応してスプリング(バネ)を押し縮めることでミニの姿勢を保っているんです。その他、カーブを曲がるときに車にかかる遠心力から姿勢を守ったり、路面からの衝撃を吸収してドライバーや同乗者の室内の快適性を確保したりする役割も担っています。
エンジンパフォーマンスだけを強化してもダメ
チューニング目的でのサスペンション交換について話す前に、前回のキャタライザーのコラムの次がなぜ「サスペンション交換なのか」についてお話しさせてください。このコラムはジオミックが開発した製品の順番通りに毎回1つの製品を取り上げて、「なぜ、その製品がチューニングに役立つのか」を紹介していきます。
前回、キャタライザーを紹介し、エンジンのパフォーマンスが上がることを紹介しました。さらにパワーを上げるだけなら、空気の吸入効率のいいエアフィルターや抜けのいいマフラーを紹介すればいいでしょう。DMEチューニング(エンジンの制御プログラムの書き換え)をすればさらにパフォーマンスも上がりますね。
しかし、エンジンパフォーマンスだけが向上しても、その力を路面に伝える足回りが充実していないとパワーを持て余す形となり、乗りにくいだけのミニになってしまいます。そこでジオミックはキャタライザーの次に足回りの機能性パーツの開発に取り掛かったんです。エンジンのパワーを上げる話は別のコラムでちゃんと紹介するのでお待ちください。
サスペンション交換のメリット
車高を下げるとなぜ運動性能が良くなるの?
いよいよ、チューニングの世界でのサスペンションの役割についてのお話です。サスペンションを交換することで車高を変えることができます(高くすることも可能ですが、普通は低くします)。車高を調整するためにサスペンションを交換するので、車高を調整することが可能なサスペンションを「車高調(しゃこちょう)」と呼ぶ人も多いですね。では、なぜチューニングでは車高を下げるのでしょうか。
それは、車の運動性能を上げるためには、重心を下げるのが効果的だからです。F1やサーキットを走る車をイメージしてみると、みんな非常に車高が低くなっていますよね(ラリーカーなど荒れた道を走る車は別ですが…)。
車はカーブを曲がるときに発生する遠心力などで姿勢が変わろうとします(力のかかる方向でロールやピッチなどと呼ばれます)。この力は車の重心位置が高いほど車の姿勢を崩してしまうんです(姿勢が崩れるとは前後左右に車が傾く量のことだと考えてください)。
一方、重心位置が下がると姿勢変化が小さくなり、車体が安定します。姿勢が安定すると、それだけ車がコントロールしやすくなり、ハンドル操作に車がダイレクトに反応するようになるんです(ミニはノーマルでも他の車に比べると重心は低くなっており、それがミニの運転が面白い理由の1つです)。
もう少しわかりやすく説明すると…メトロノームを思い浮かべてみてください。メトロノームの支点(付け根の部分)を路面、先端についている重りを重心位置として考えると、重り(重心位置)が、支点(路面)と離れると動きが大きくなり、カウントがゆっくりになりますよね。重りがもう少し下にあれば動きが小さくなりカウントが早まります。重心位置と姿勢の関係はこのような原理です。支点と重心位置の関係はサスペンションジオメトリーと呼ばれる、アームやジョイントとの位置関係でも変化するのですが、それは今後の回で説明しますね。
コーナリング時などでドライバーがハンドルを切り、車の姿勢を崩すと前後左右の4本のタイヤにかかる力が変わってきます(これを「荷重変化」といいます。かかる力はいくつかありますが、主にミニの重さだと考えてください)。荷重変化はドライバーが運転操作によって意図的に起こすのですが、足回りの設定によって荷重変化のコントロールしやすさが変わってくるんです(ミニはコンピューターが姿勢制御をコントロールし、ドライバーをサポートしていますが…)。
具体的には車高を落とし重心を下げることで車両の安定化を図り、ドライバーがミニをコントロールしやすくしています。単純に車高を落とすだけではなく、サスペンションを適正なバネレート(バネの硬さ)に設定したり、車体のジオメトリーを適正化する(※)ことも、コントロールのしやすさに関わってくるんですが…少し難しい話になるので省略しますね。要するに、車高を下げるという行為は重心を下げることに繋がり、重心が下がることにより姿勢変化が安定化し、各タイヤにかかる荷重の変化をよりコントロールしやすくなるってことですね。この結果、4つのタイヤのグリップを最大限に効かせられるようになり、ミニの運動性能は向上します。
※サスペンションの取り付け位置や角度によって車の運動性能のバランスを取ること。
ジオミックのサスペンション
ジオミックのサスペンション・キットは車高などを好みで調整が可能!
サスペンションを交換し、車高を(重心を)下げるのには上記のようなメリットがあるのはおわかりいただけましたか? こういった理由でジオミックではサスペンションキットへの交換をオススメしています。もちろん、どれだけ車高を下げるのかはオーナーさん次第です。「どこまで走りを求めるのか」、「どこまで車高を下げて見た目を変化させたいのか」…オーナーさんによって求める内容はバラバラです。
ですから、ジオミックの「C.C.S.サスペンション・キット」はスプリングの可動範囲やダンパー(※)を段階的に調整できる仕組みを持たせています(車高は15㎜~40㎜の範囲で下げることができます)。
※サスペンションスプリングの伸び縮みのスピードを制御するための構成パーツ。その力を減衰力ともいいます。
「車高を下げるとサスペンションが硬くなり、乗り心地が悪くなる」という声を聞きますが、それは半分正解、半分不正解です。純正のサスペンションではサスペンション性能と乗り心地を両立するための設計やセッティングがなされています。サスペンション交換で車高を下げるいうことは、その設計を無視する形でスプリングのストローク幅(上下に動く距離)が短くなり、その影響で乗り心地が悪化してしまうことがあります。
ただ、乗り心地はスプリングのストローク幅だけで決まるわけではありません。ストローク幅が短くなったなら、スプリングレート(スプリングの硬さ)やダンパー(スプリングの伸び縮みのスピードを制御する仕組み)でストローク幅が短くなった部分をカバーし、走りと乗り心地の良さのバランスを取ることも可能なんです。ジオミックのサスペンション・キットはこの部分をオーナーさんの好みにできる調整幅を持たせています。
ジオメトリーを補正するための機能パーツも用意しています
また、サスペンションを構成する部品の1つに「サスペンション・アーム」というパーツがあります。これはサスペンションがタイヤの動きに合わせて限られた範囲で動くように制御しているパーツです。少し難しい話になりますが、サスペンションを交換した際にサスペンション・アームをノーマルのままにしておくと、ロールセンター(車が左右に傾くときの中心点)が少しズレてしまいます。交換したサスペンションに合わせ、長さや角度が変更されたサスペンション・アームに変更すると理想的な足回りが完成します。
ジオミックではロールセンターのズレを補正するために「ロール・センター・アジャスター」や「ロール・センター・アダプター」、「バンプアジャスト・タイロッドエンド」などの製品を開発しています。これらすべてを組み合わせると「C.C.S.サスペンション・キット」は理想的な動きをしますが、徹底的に運動性能を追いかけるのではない限り、「C.C.S.サスペンション・キット」で満足いただけるでしょう。
ミニ3ドア、5ドア用サスペンションも開発中です
2014年に第3世代のミニ3ドア(F56)、5ドア用(F55)が登場し、カタログを見るとフロントがストラット式、リアがマルチリンク式サスペンションなのは第2世代以前と変わっていませんね。ただ第3世代のFシリーズ用サスペンションは、これまでの世代のモノと比べても改善されているのがわかります。クーパーSのエンジンが2000㏄になり、エンジンルームのスペースが限られている中、フロントサスペンションはボールジョイントの位置が変更されていたり、サスペンション・アームの形状や材質が変更されていたり…。採用されているサスペンション形式は同じですが、足回りにこだわるBMWらしい改善が見られます。
ジオミックでは製品開発用にミニ3ドア、5ドアを購入し、一般道やサーキットを走らせ、第3世代のFシリーズ用サスペンションの開発も進めています。もうすぐ発表できると思うので、少しだけお待ちください。
タイヤとの関係
足回りを強化した後はホイールとタイヤにこだわって欲しい。
この話は次回のコラムテーマと少し重なってしまうのですが、サスペンションを交換することでタイヤが路面と接する面圧(単位面積当たりの荷重)をコントロールしやすくなります。また、難しい話になってきましたが、サスペンションがググっと沈みこむ力を調整することでタイヤにかかる荷重が適正化され、タイヤのグリップを利用しやすくなるんです。サスペンションを強化することでタイヤが路面をしっかりとグリップするようになると思ってください。純正の15、16インチのタイヤでもその効果は実感できますが、ハイグリップなタイヤを履くことで運動性能はさらにと向上します。そのためジオミックではサスペンション交換後にホイールを交換し、より幅の広い(ワイドトレッドな)ハイグリップタイヤを装着出来るようにすることをオススメしています。
次回のコラムではホイールやタイヤのサイズ、重さが運動性能に与える影響についてお話しますが、選ぶホイールやタイヤによってサスペンションのベストな設定が変わったりもするんですよ。
商品概要
品名:C.C.S.サスペンション・キット
- 価格:¥230,000(税抜き) ※R60・R61用は¥250,000
- 適応車種:R56・R55・R57・R58・R59・R60・R61
- 適応グレード:ALL
- 保安基準:適合品
- 取付作業時間:約4時間
- 商品詳細:商品詳細ページ
- 取付店:ジオミック商品 取扱店一覧
サスペンション・キット取り付け後のジオメトリー補正パーツ
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