目次
- BMW Z4(E85/86)の歴史
- BMW Z4(E89)の歴史
- BMW Z4 新旧モデルでのボディ&エクステリアの違い
- BMW Z4 新旧モデルでのインテリアの違い
- BMW Z4 新旧モデルでのエンジンの違い
- BMW Z4 新旧モデルでのグレードと価格の違い
はじめに
BMWの2シーターオープンカーのネーミングに使われる“Z”の呼称は1989年から販売されたZ1に最初に採用されました。Z1は2.5L直列6気筒エンジンを搭載したラグジュアリーオープンカーです。Z1が登場した1989年はマツダユーノスロードスターが牽引するライトウェイト2シーターオープンカーブームが起きたことで、Z1は1991年にわずか2年で生産終了となります。Z1のボディサイズは全長3920mm×全幅1690mm×1250mmとライトウェイトスポーツをクリアしているのですが、垂直に引き込まれる特徴的なドアを採用したこともあり価格が当時500万円以上という高級車でした。そこで、BMWは改めてこのトレンドにマッチした、装備をシンプルにして新車価格が300万円台のZ3を1996年にリリースします。今回紹介するZ4はこのライトウェイト2シーターオープンカーであるZ3の後継車であり、さらに進化したモデルです。初代Z4(E85/86)は2003年に登場し、2006年にはZ4クーペ(E86)を追加します。そして初代Z4(E85/86)は2009年にフルモデルチェンジを行い、2代目Z4(E89)にスイッチします。Z4は日本の最高峰のモータースポーツの一つであるスーパーGT GT300クラスに参戦していたモデルとしてご存じの方も多いでしょう。それでは、BMW屈指のスポーツモデルであるZ4(E89)と(E85/86)の違いを詳細に比較してみますね。
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BMW Z4(E85/86)の歴史
BMW Z4は先代のZ3より高級志向が強まる
ライトウェイト2シーターオープンカーBMW Z3の後継車として、初代Z4(E85/86)は2003年1月に国内に導入されました。後継車とはいうものの、初代Z4(E85/86)のボディサイズはZ3よりも全長は+40mm、全幅は+40mm、全高は+5mm拡大され、ワンランク上のモデルとなりました。Z3はロングノーズ、ショートデッキ(ボンネットが長く、キャビンが後方にある)のスタイルを採用したクラシカルなデザインでした。初代Z4(E85/86)もロングノーズ、ショートデッキは変わりませんが、クリス・バングルの手により先鋭的なデザインへと変わっています。ただし、約50:50という前後の重量バランスやFR(後輪駆動)というBMWらしさは継承されています。
グレードについて触れますと、2003年の登場時は最高出力125kW(170ps)を発生する2.2L直列6気筒DOHCエンジンを搭載した2.2iと、最高出力141kW(192ps)を発生する2.5L直列6気筒DOHCエンジンを搭載した2.5i。そして最高出力170kW(231ps)を発生する3L直列6気筒DOHCエンジンを搭載した3.0iの3種類が用意されました。ミッションは全車5ATで、3.0iのみ素早いシフトチェンジが可能な2ペダルMTのSMGが用意されていました。初代Z4(E85/86)はZ3同様にルーフにはソフトトップを採用し、開閉は3.0iのみ電動開閉式で2.5iと2.2iは手動式を採用していました。2004年5月に一部改良を行い、エントリーモデルの2.2iの装備の充実と3.0iのインテリアに装備されているクローム・パーツの部位拡大など魅力をアップさせています。
マイナーチェンジで内外装の変更を行うと同時に新世代エンジンを搭載
初代Z4(E85/86)は2006年4月にマイナーチェンジを行います。内外装のデザイン変更を行うとともに、クランクケースにマグネシウム合金を採用した新生代の直列6気筒エンジンを搭載します。2.5Lエンジンは最高出力が130kW(177ps)、3Lエンジンは最高出力が195kW(265ps)となりました。同時にミッションが5速ATから6速ATへ変更され、燃費性能が向上しています。この時に3Lエンジン搭載車の名称がロードスター3.0siと変更され、ロードスター2.2iとロードスター3.0i SMGが廃止となりました。また、これまで手動式のソフトトップだったロードスター2.5iも3.0siと同じ電動開閉式へと変更されています。さらに、このタイミングでオープンカーのみだったZ4にスチールルーフを採用したZ4クーペ(E86)が登場しました。Z4クーペ(E86)は従来のZ4に単にスチールルーフを装着しただけではなく。ボディの後部分はクーペ専用設計というこだわりとなっています。Z4クーペ(E86)は3L直列6気筒DOHCエンジンを搭載したZ4クーペ3.0siの1グレードのみが導入されました。続く、2007年2月にはロードスター、クーペともにマルチファンクション機能を追加したレザーステアリングをはじめ、ロードスター2.5iにはキセノンヘッドランプやオートエアコンが追加され装備の充実化が図られ、2009年4月まで販売されました。
BMW Z4(E89)の歴史
丸みを帯びたデザインからエッジの立った精悍なスタイリングへ
2代目のBMW Z4(E89)は2009年5月に日本に導入されました。Z3から初代Z4(E85/86)までは北米の工場で生産されていましたが、2代目Z4(E89)はドイツで生産するようになったのも変化の一つでしょう。初代Z4(E85/86)はソフトトップを採用したオープンカーのロードスターとクーペの2つのボディが設定されていましたが、2代目Z4(E89)はアルミ合金製の電動開閉式ハードトップを採用しました。1台でクーペとオープンカーが楽しめるようになったことでモデルはロードスター1つに統合されています。この軽量なハードトップはボタン一つで開閉でき、時速40km以下であれば走行中でもわずか数秒で開閉可能です。2代目Z4(E89)のエクステリアデザインは初代Z4(E85/86)から継承されたロングノーズ、ショートデッキのスタイリングは変更されていません。しかし、デザイナーが変わったことで、丸みを帯びたデザインからエッジの立った精悍なスタイリングとなりました。さらにホイールベースは2495mmと初代Z4(E85/86)と同じですが、ボディサイズは全長が+150mm、全幅が+10mm、全高が5mm大きくなり、プレミアム感が強まっています。
次に2代目Z4(E89)に設定されるグレードを紹介しましょう。最高出力150kW(204ps)を発生する2.5L直列6気筒DOHCエンジンを搭載したsドライブ23i。そして最高出力225kW(306ps)を発生する3L直列6気筒DOHCターボエンジンを搭載したsドライブ35iの2種類でスタートしました。組み合わされるミッションはsドライブ2.3iが6速AT、sドライブ35iが7速DCT(ダブルクラッチミッション)となります。翌年の2010年5月に2代目Z4(E89)のフラッグシップモデルとなるsドライブ35isが追加されました。最高出力250kW(340ps)にパワーアップした3L直列6気筒DOHCターボ+7速DCTというパワートレインを搭載し、アダプティブMサスペンションを含むMスポーツパッケージを標準装備したスポーティさを強調したモデルです。2011年4月には最高出力135kW(184ps)を発生する2L直列4気筒ターボエンジンと8速ATというパワートレインを搭載したsドライブ20iが登場し、このタイミングでsドライブ2.3iが廃止されました。
2013年にマイナーチェンジ。内外装の変更と装備を充実
2013年に2代目Z4(E89)は一部改良を行います。ヘッドライトにLEDスモールライトリングを採用し、精悍さを増すなど内外装のデザインを変更しました。そしてエントリーグレードのsドライブ2.0iにオートエアコンを標準装備するなど、装備の充実化とともに魅力をアップさせています。このタイミングでハイラインパッケージやMスポーツパッケージなどのパッケージオプションの名称がハイライン、Mスポーツとなりました。
BMW Z4 新旧モデルでのボディ&エクステリアの違い
初代Z4はソフトトップだったが、現行型Z4は電動開閉式のハードトップを採用
まず、初代Z4(E85/86)と2代目Z4(E89)のボディサイズとエクステリアの違いを見てみましょう。初代Z4(E85/86)のボディサイズは全長4100mm×全幅1780mm×全高1285mmでホイールベースは2495mmとなっています。一方の2代目Z4(E89)のボディサイズは全長4250mm×全幅1790mm×全高1290mmでホイールベースは2495mmです。初代、2代目ともにホイールベースは2495mmで同じですが、全長は+150mm、全幅+10mm、全高−5mmのロー&ワイドなスタイリングとなりました。エクステリアデザインはクリス・バングルがデザインを担当した初代Z4(E85/86)は丸みを帯びたデザインでしたが、デザイナーが変わった2代目Z4(E89)直線を多用した押し出し感の強いデザインとなりました。そして初代Z4(E85/86)はソフトトップのロードスターとメタルトップのクーペの2タイプを用意していましたが、2代目Z4(E89)は電動開閉式のハードトップを採用したロードスターにモデルが集約されています。
現行型sドライブ20i(E89) | 現行型sドライブ35i(E89) | 先代2.5i(E85) | 先代3.0si(E85) | |
---|---|---|---|---|
全長 | 4,250mm | 4,250mm | 4,100mm | 4,100mm |
全幅 | 1,790mm | 1,790mm | 1,780mm | 1,780mm |
全高 | 1,290mm | 1,290mm | 1,285mm | 1,285mm |
ホイールベース | 2,495mm | 2,495mm | 2,495mm | 2,495mm |
車両重量 | 1,500kg | 1,600kg | 1,400kg | 1,430kg |
トランク容量 | 180~310L | 180~310L | 240~260L | 240~260L |
BMW Z4 新旧モデルでのインテリアの違い
乗員それぞれが独立したスペースと感じるデザイン
続いてはインテリアを見てみましょう。初代Z4(E85/86)のインパネは横長のパネルを使用することで、室内をワイドに感じさせます。メーターは大きな回転計と速度計が配置され、視認性も高められました。スイッチ類はセンターにまとめられていて、シンプルな印象を受けます。一方の2代目Z4(E89)はドライバー側に傾けられたコクピットや非対称にデザインされたセンターコンソール。そして操作パネル上に最適に配置された丸型スイッチなどは、かつて発売された2シーターオープンカーZ8を彷彿させるエキサイティングな仕上がりとなっています。また、ドライバーとパッセンジャーそれぞれに独立した空間が確保されました。インパネ内には初代Z4(E85/86)同様に視認性に優れた大きな回転計と速度計が配置されています。そしてトランク容量は初代Z4(E85/86)260Lを確保し、一方の2代目Z4(E89)はルーフを閉じた際が310L、オープン時でも180Lと高い実用性を誇ります。
BMW Z4 新旧モデルでのエンジンの違い
初代Z4は自然吸気エンジンが主力だが、2代目Z4はターボがメイン
初代Z4(E85/86)と2代目Z4(E89)に搭載されているエンジンの違いを見てみましょう。まず初代Z4(E85/86)ですが、搭載されていた3種類はすべて直列6気筒DOHCの自然吸気エンジンでした。最高出力125kW(170ps)を発生する2.2L直列6気筒DOHCをはじめ、最高出力141kW(192ps)を発生する2.5L直列6気筒DOHC。そして最高出力171kW(231ps)を発生する3L直列6気筒DOHCです。2.2L直列6気筒エンジンは2006年3月で廃止され、2.5L、3L直列6気筒エンジンは2006年4月のマイナーチェンジで新生代の直列6気筒エンジンへと変更され、2.5Lエンジンは最高出力130kW(177ps)となり、3Lエンジンは最高出力195kW(265ps)となりました。さらに2006年4月に登場したクーペは3L直列6気筒エンジンのみでした。一方の2代目Z4(E89)は2009年5月から2011年10月までラインナップされていたsドライブ23iは2.5L直列6DOHCの自然吸気エンジンを搭載していましたが、sドライブ35i、sドライブ35isそして、2011年10月に追加されたsドライブ20iはすべてターボエンジンを搭載しています。最上級モデルのsドライブ35isは最高出力250kW(340ps)を発生する3L直列6気筒ツインターボを搭載。sドライブ35iは最高出力225kW(306ps)を発生する3L直列6気筒ターボ。そしてsドライブ20iは最高出力135kW(184ps)を発生する2L直列4気筒DOHCターボを搭載しています。高い環境性能と燃費性能、そして高い走行性能を両立させるために排気量を小型化したダウンサイジングターボエンジンを2代目Z4(E89)は主力エンジンとしています。
現行型sドライブ20i(E89) | 現行型sドライブ35i(E89) | 先代2.5i(E85) | 先代3.0si(E85) | |
---|---|---|---|---|
エンジン | 直列4気筒DOHCターボ | 直列6気筒DOHCターボ | 直列6気筒DOHC | 直列6気筒DOHC |
総排気量 | 1,997cc | 2,979cc | 2,496cc | 2,996cc |
最高出力 | 135kw(184ps) | 225kw(306ps) | 130kw(177ps) | 195kw(265ps) |
最大トルク | 270N・m(27.5kg-m) | 400N・m(40.8kg-m) | 230N・m(23.5kg-m) | 315N・m(32.1kg-m) |
タンク容量 | 55L | 55L | 55L | 55L |
JC08モード燃費 | 13.4km/L | 10km/L | 10.2km/L(10・15モード) | 10.2km/L(10・15モード) |
BMW Z4 新旧モデルでのグレードと価格の違い
3L直列6気筒エンジン搭載車の値上がり額が大きい
最後にグレードと価格の違いです。初代Z4(E85/86)は2003年のデビュー当時手動式のソフトトップだった2.2iが398万円、2.5iが450万円。電動のソフトトップを採用した3.0iが555万円でした。2006年4月のマイナーチェンジで全車電動ソフトトップとなった2.5iが439万円、3.0iが589万円。そして追加されたZ4クーペは574万円となりました。そして2代目Z4(E89)は2009年4月のデビュー当時sドライブ23iは523万円、sドライブ35iは695万円でした。2010年5月に追加されたsドライブ35isは815万円、2011年10月に発売されたsドライブ20iは500万円を切った499万円で登場しました。現在、2代目Z4(E89)の価格は518万~850万円となっています。電動開閉式ハードトップの採用やボディの大型化、装備の充実などにより初代Z4(E85/86)より2代目Z4(E89)は高価格なモデルとなっています。
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