- メカニズム・メンテ講座
- 掲載:2014/9/1 |
ミニクロスオーバー (R60) ディーゼルエンジン徹底解説
メカニズム・メンテ講座|クロスオーバー (Crossover), ペースマン (Paceman), 新車、中古車購入, 第2世代ミニ

目次
ディーゼルエンジンとは
マイナスイメージの強かったディーゼル
エコなエンジンというと日本ではハイブリッドが主流ですが、海外ではディーゼルエンジンが人気です。日本ではディーゼルというと、2007年ごろに実施された厳しい排ガス規制で消えてしまったエンジンという印象が強いのではないでしょうか。またディーゼルは燃料費が安い反面、「パワーが出ない、うるさい、排気ガスが臭い」など、マイナス面もありました。
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技術革新で一気に陽の目
しかし現在、ヨーロッパや日本の厳しい環境規制に適合した現在のディーゼルエンジンは「クリーンディーゼル」と呼ばれ、環境に優しいエンジンとなりました。排気ガスをクリーンにするために燃焼効率を高めた結果、ガソリン車より燃費が2~3割良くなっています。また、かつてはパワーが無いと言われていたディーゼルエンジンですが、エンジン性能を上げたことに加えてターボチャージャーを搭載したことで、ガソリン車以上のトルクとガソリン車並の出力を手に入れています。

クロスオーバーで日本初導入
ミニは以前よりディーゼルエンジン搭載モデルを開発・販売していましたが、日本導入を行っていませんでした。ただ2014年9月にマイナーチェンジで登場したクロスオーバーにディーゼルエンジン搭載モデルが登場しています。ちなみに、燃費はガソリンモデルと比べて120%以上アップしています。ただし一般的にこれらクリーン・ディーゼル車は、ミニにかぎらずガソリン車よりも販売価格が高い傾向にあります。これはディーゼルエンジンの方が燃料の爆発力が強く、頑丈なエンジンが必要なこと、効率の高い燃料噴射が必要なため燃料噴射装置の構造が複雑なためです。この価格差はガソリン車以上の燃費の良さがあるため、ある程度の走行距離を走れば取り戻せるでしょう。上述のクロスオーバーであれば、おおよそ2万キロ程度(2014年10月現在)の走行で元が取れ、それ以降はガソリン車よりも燃料費が安くなっていく計算です。
BMWのディーゼルは優等生
ヨーロッパではBMW、MINI販売の60%がディーゼル
ちなみにミニに搭載されているディーゼルエンジンは、もちろんBMW社が開発したもの。このBMW製のディーゼルエンジンの信頼性は非常に高く、トヨタ自動車もヨーロッパ向けに販売されている車両に採用しているほどです。また、ヨーロッパではBMW販売台数の6割以上がディーゼルエンジンとなっています。ミニのディーゼルエンジンは日本国内では初導入ですが、欧州での実績は充分過ぎるほどあります。
ディーゼルエンジンのメリット
-
- 燃費が良い
- ガソリンモデルに比べて、クリーンディーゼルは2-30%程度燃費が優れています(下記参照)。
-
- 燃料費が安い
- 燃費性能がいいのに加えて、ディーゼルエンジンで使用する”軽油”はガソリンに比べて安いのもメリットです。ランニングコストは大幅に軽減されるでしょう。
-
- CO2排出量が少ない
- ガソリンに比べて軽油は、CO2排出量が1/2程度と言われています。例えば日本を走るクルマの10%がディーゼルになれば、年間約200万tのCO2排出量を削減できます。
-
- トルクアップによる上質な走行フィーリング
- ガソリン車に比べてトルクが太いのが特徴です。登板路や高速道路でぐっと加速する感覚、そして一昔前では考えられないような静寂性は、ワンランク上のクルマのような上質な走行フィーリングを実現しています。
クロスオーバー:ディーゼルとガソリンの燃費比較
■ クロスオーバー クーパー AT車
モデル名 | 燃費 | 排気量 | 最高出力 | 最高トルク |
---|---|---|---|---|
ガソリン | 14.5 km/L | 1.6L | 122ps | 160Nm |
ディーゼル | 17.8 km/L | 2.0L | 112ps | 270Nm |
■ クロスオーバー クーパーS AT車
モデル名 | 燃費 | 排気量 | 最高出力 | 最高トルク |
---|---|---|---|---|
ガソリン | 14.7 km/L | 1.6L | 190ps | 240Nm |
ディーゼル | 16.9 km/L | 2.0L | 143ps | 305Nm |
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違い
各エンジンの仕組み
ディーゼルとガソリンエンジンの違いを理解するには、まずはガソリンエンジンについて理解する必要があります。まずは簡単にガソリンとディーゼルエンジンの違いを下の表にまとめましたのでご覧下さい。
ガソリンエンジン | ディーゼルエンジン |
---|---|
|
|
*1 : エンジン内で火花を飛ばす部品
ディーゼルエンジンがガソリン車と違うのは、混合気を作る過程と点火方法です。ガソリン車は混合気を発火させるのにスパークプラグを必要としますが、ディーゼル車は自然発火させるためスパークプラグを必要としません(*2)。また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比べて圧縮比(エンジンに取り込んだ空気をどれだけギュっと圧縮するのかを表す数値)が高いため爆発力が強く、爆発力を得るための燃料と空気の混合比率(空燃比)もガソリン車より効率的なため、昔からディーゼル車はガソリン車より経済的とされてきました。
*2 : エンジン冷寒時には空気の圧縮だけではエンジンに取り込んだ空気の温度が上がらないことがあるため、空気やエンジン内部を温めるグロープラグという部品がディーゼルエンジンには搭載されています。スパークプラグと違い、火花を飛ばさない電熱棒のような部品です。
ディーゼルは維持費が安く、高寿命
ディーゼル車に使用される燃料はガソリンではなく軽油です。日本ではガソリンより軽油の方がかかる税金が安いため、リッター辺り30円以上も価格差があります。しかし、精製にかかるコストはガソリンよりも軽油の方が実は上です。ガソリンより軽油の方が高い国も実はあります。しかし、ガソリンと軽油のコスト差がなかったとしてもディーゼル車の方が燃料費は安くつくのです。そのため、国内でも海外でも長距離を走るトラックやバス、船舶ではディーゼルエンジンが主流となっています。
また、ディーゼルエンジンは高寿命なことでも知られています。エンジン内部での爆発が強いためガソリン車以上に頑丈なエンジンに作られていること、エンジン回転数を上げなくてもパワーが得られるため高回転まで回す仕組みになっていないこと、スパークプラグが必要ないためガソリン車での多くのトラブルの原因となっている点火系部品がないことがディーゼルエンジンの信頼性の高さに繋がっています。
なぜディーゼルは軽油を使わなくてはいけないの?
日本では軽油の方が価格が安いため、ディーゼルエンジンにガソリンを入れる人はいませんが、なぜディーゼル車には軽油でなければいけないのでしょう。一言で言えば、ディーゼル車は軽油を使うように設計されている、で済んでしまうのですが、この理由はディーゼル車とガソリン車の点火方法にあります。
軽油もガソリンにも「この温度以上になると自然に火がつく」発火点という温度があります。軽油が約250℃でガソリンが約300℃です。軽油とガソリンの発火点の違いから、ディーゼルエンジンにガソリンを使用してしまうと、エンジン設計時に想定していない異常燃焼が起こり、軽油用に設計されている燃料噴射ポンプが故障し、エンジンがストップしてしまいます。くれぐれも燃料の入れ間違いには注意してください。
昔のディーゼルエンジンとクリーンディーゼルは何が違うの?
旧ディーゼル最大の課題は、汚れた排気ガスだった
かつてのディーゼルエンジンで問題にされたのは、排気ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)やPM2.5などで話題になっているPM(粒子状物質。特定の物質を指す言葉ではなく、PMの後につく数字で大気汚染物質の粒の大きさを表しています)、SOx(硫黄酸化物)が大気中に排出されることでした。また、燃料の不完全燃焼で発生する黒煙(炭素で構成されます)が呼吸器系に害があるとされてきました。しかし、ディーゼルエンジンはCO2排出量と燃費がガソリンエンジンより優れていたため、排気ガスの問題さえクリアすれば環境に優しいエンジンになることは間違いなく、メーカー各社によってディーゼルエンジンの改良・開発が進みました。
試行錯誤の末に完成した「クリーンディーゼル」
各社の開発の取り組みにより、完成したのがクリーンディーゼルです。このクリーンディーゼルには下記のような改善点がありました。
従来のディーゼルエンジンの改善ポイント
- より効率を高めた燃料噴射装置
- マフラー内に搭載された専用触媒とフィルター
- 燃料の軽油の品質改善
1点目の燃料噴射装置についてですが、ディーゼルエンジンはそもそも燃焼効率は高かったのです。しかし、不完全燃焼で発生する黒煙が目立ち、これが日本でのディーゼルエンジンの印象を悪くしていた元凶で、より高性能な燃料噴射装置が求められていました。エンジン回転数などに合わせ、コンピューター制御できめ細かな燃料が噴射される装置が開発され、これにより排気ガスのクリーン化が一歩進みました。
しかし、燃料の燃焼効率が進んでもNOxやPMなどの環境負荷が高い物質は変わらず排気ガスに含まれています。これを排気ガスから除去する仕組みが2点目に挙げた専用触媒とフィルターです。ガソリン車には排気ガスを綺麗にするための触媒がマフラー内に取り付けられていますが、ディーゼルエンジンの排気ガスはガソリン車のモノと成分が違い、ディーゼル車専用の触媒(NOx吸蔵還元触媒)が開発されました。その他、有害物質をキャッチするDPF(粒子状物質除去フィルター)もマフラー内に取り付けられています。フィルターでキャッチされた有害物質は化学変化や燃焼させることで無害な物質に変わり、排出されます。
最後が3点目に挙げた軽油の品質改善です。かつての軽油には燃焼後にSOx(硫黄酸化物)を発生させる硫黄分が多く含まれていました。燃焼過程で硫黄分を除去するのは難しいため、SOxは軽油から硫黄成分をできるだけ除去することで対策が取られたのです。
こうした努力の結果、ディーゼルエンジンはクリーンディーゼルと呼ばれるほど環境に優しいモノとなり、ハイブリッドエンジンと並び環境に優しいエンジンとして注目されるようになったのです。
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