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BMWが燃料電池車 (FCV) の開発車両を公開! i8と5シリーズがベース【FCV解説付き】

編集部通信|

BMW Hydrogen fuel cell drive system

2012年6月にBMWとトヨタは、燃料電池車(FCV)やスポーツカー開発で提携しましたが、いよいよFCVのプロトタイプが出てきたようですよ。ベース車両はBMW i8とBMW 5シリーズグランツーリスモです。FCV自体の解説とともに、ご紹介していきますよ。「FCVのことはわかってる! BMWを見せてくれ」という方は、このリンクをクリックください

燃料電池車

TOYOTA MIRAI

究極のエコカー

現在、環境性能の高い車といえばハイブリッドやプラグインハイブリッド、電気自動車など様々なものがありますよね。中でもFCVは「究極のエコカー」として、注目を集めているテクノロジー。昨年末、トヨタ自動車が初の燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を発売、大きなニュースとなったのを覚えておられる方も多いのではないでしょうか。ただ、燃料電池車と言っても具体的にどういう仕組なのか(電気自動車やハイブリッドと何が違うのか)、いまいちわかりませんよね。そこでまず燃料電池車について、簡単にご説明いたします。

FCVの仕組み

写真:TOYOTA自動車

電気を作れる車、FCV

燃料電池を一言で説明すると、「水素と酸素を化学反応させて電気を作る電池」ということになります。燃料電池車とは、これを搭載してモーターで走る電気自動車(EV)のことです。「じゃあ、電気自動車と呼べばいいじゃない」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、FCVとEVの間には大きな差があります。それが「電気を作れるかどうか」という点。EVは充電して貯めた電気で走りますが、FCVは自動車で電気を作ることが出来ます。このためEV最大の課題である「航続距離の心配」は、ほとんどありません。ガソリン車同様に走行できる安心感は絶大と言えるでしょう。ちなみに最近TOYOTA社が発表したFCV車「MIRAI」の航続距離は650kmに達しています。これで足りないという方は、ほとんどいないのではないでしょうか。

MIRAI 水素充填

燃料は水素。充填はわずか3分で完了

FCVは大気中の酸素に水素を化学反応させることで、走ります。このため水素充填が必要になるわけですが、こちらも電気自動車よりもメリットがあります。現在、電気自動車は急速充電でも30分程度の時間がかかりますが、FCVなら約3分(TOYOTA MIRAI)となっています。これならガソリンと同じ感覚で利用できますよね。

水素ステーション

圧倒的に少ない水素ステーション

このようにメリットが大きいFCVですが、まだまだ課題も多くあります。中でも最大の課題が、水素ステーションの少なさ。2015年現在では全国に100ヶ所以下しかない状態です(ガソリンスタンドは34,000ヶ所)。電気自動車は受電スタンドがなくても、家庭用コンセントがあればなんとか充電できますが、FCVは水素充填なのでどこでも行うわけにはいきません。水素ステーションが100ヶ所以下という状況は、実用性という観点ではほぼないと言っていいでしょう。FCVのコンセプトは非常に素晴らしいですが、現時点においてはインフラが間に合っていないというのが実情です。

FCVまとめ

メリットも多いが、肝心のインフラが不足

  • 水素重点で、車が発電してくれる
  • 燃料は酸素と水素のみ。このため走行中のCO2はゼロ
  • 航続距離が非常に長い。MIRAIは650km
  • 充填時間が短い。MIRAIはわずか3分
  • 水素は多様な1次エネルギーから製造可能。最近では下水から水素を取り出す研究も
  • インフラが少なく水素ステーションは、全国で100ヶ所以下(自動車メーカーとエネルギー会社では2015年に100ヶ所を目標に掲げている)

BMWのFCV

BMW Hydrogen fuel cell drive system

5シリーズを使ったデモンストレーション

課題の多いFCVですが、それでもメリット考えれば、今後インフラが充実していく可能性は大いにあります。そういった意味で、日本の自動車メーカーはもちろん、欧州メーカーも多くがFCV研究をスタートさせています。中でもBMWは、MIRAIで先行するTOYOTAと提携し、FCVを強力に推進している状況です。

そんな中、BMWは「BMW Group Innovation Days 2015」において、BMWはFCVのデモンストレーションを行いました。ベースとなったのは5シリーズ グランツーリスモです。

BMW Hydrogen fuel cell drive system

最高出力248ps、満充填で500km走行可能

使用されたのは最高出力248psのEVモーターで、これはBMW i8やBMWが開発中のプラグインハイブリッド用を改良したもの。燃料電池部分は、トヨタと共同開発したものを使用しており、MIRAIのものとは異なっているようですね。なお水素の燃料タンクは車体中央付近に設置され、満充填で最大500km以上走行することが可能とされています。充填時間は約5分です。

BMW Hydrogen fuel cell drive system

2020年に初期モデル完成!?

今回のBMWとトヨタの提携では、2020年でのFCVの初期モデル完成を目指しているようです。すでにMIRAIがありますから、おそらく2020年には新型BMWのFCVモデルが見られるでしょう。ただどんなに素晴らしいモデルも、肝心の水素ステーションがなければ絵に書いた餅同様。BMWの新型車も楽しみですが、こちらの充実も是非お願いしたいものですね。

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