まずは自己紹介
はじめまして、MINI姫路でメンテナンスを担当させていただいている高品と申します。基本的なメンテナンスに少し気をつけていただければ、ミニは非常に長く乗っていただける車です。エンジンオイルはその中でも重要な役割を果たします。エンジンオイルがどのようや役割を果たしているのかを少し知っていただき、交換サイクルを意識していただければ幸いです。
MINI姫路
メカニック 高品 槙也さん
兵庫県姫路市にあるMINI 姫路のメカニック。MINI 姫路は兵庫県南西部で唯一のMINIディーラーのため、日々数多くのミニオーナーの愛車を整備し、JCWなどスポーツモデルへの造詣も深い。
エンジンオイルは、エンジンにとっての血液。
ミニの場合、エンジンオイルの交換サイクルは前回交換後からの走行距離に応じてディスプレイに表示されます。このため、ローバーミニ(クラシック・ミニ)ほど定期的にオイル量や汚れのチェックをする必要はありません。しかし、BMW MINIの場合でも長く乗り続けていただくためにはエンジンオイルに少しは気を遣うことをオススメします。
そのために、まずはエンジンオイルがどのような役割を果たし、なぜ定期的な交換が必要なのかは知っておくべきでしょう。この記事ではエンジンにとっての血液と言える、エンジンオイルについて紹介します。
エンジンオイルの役割とは?
エンジンオイルが担う役割は、潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆の5つです。それぞれ簡単に解説して行きましょう。
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潤滑
1つ目の役割、潤滑はイメージしやすいと思います。車を含め、あらゆる機械は金属同士が触れあいながら働いています。この金属同士の摩擦によるダメージを減らすためにオイルが部品表面を潤滑しているのです。車のエンジンの場合、高速で上下するピストンや回転する部品が数多くあり、過酷な環境で働く部品にダメージを与えないためにエンジンオイルが重要な役割を果たしています。もし、オイルの潤滑なしに部品同士が触れあれば部品の摩耗が進んだり、金属が直接ぶつかることで傷が入ったりして、最悪の場合は車が走らなくなります。このように、部品同士の接触によるダメージが起きないように、スムーズでロスの少ない力の伝達行うためにオイルが潤滑しているのです。
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密封
エンジン内部の部品は一見すると隙間(クリアランス)がないように見えますが、実はわずかな隙間が空けられています。金属でできている部品はエンジンが熱を持つと、わずかですが膨張します。そのため、クリアランスがタイト過ぎると、部品同士がぶつかりダメージを受けてしまうのです。オイルはこの部品の隙間を埋める「密封」の役割も持っています。オイルの密封効果がないと、エンジン内部の爆発で発生したパワーが隙間から抜け、パワーロスが起こってしまうのです。現在は部品精度が上がりオイル無しでの密封性は高まっていますが、部品間のクリアランスが無くなることはないため、オイルの密封性能はこれからも重要な役割を担っていくでしょう。
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冷却性能
エンジンオイルは、エンジン内部で発生した熱を排出する役割も担っています。現在のミニは水冷エンジンで、エンジンで発生する熱の多くはエンジン内を循環する冷却水が受け取り、エンジンの外へと運びます。熱を持った冷却水は車の前部に設置されたラジエーターで走行風を受けて熱を大気中に放出、再び冷却水がエンジン内部へと戻る仕組みになっています。ローバーミニ(クラシック・ミニ)のエンジンは空冷式で、エンジンオイルがエンジンの冷却の役割を担っていました。水冷エンジンになりオイルへの冷却の負担は減りましたが、冷却水が循環しない場所の冷却機能は今でもエンジンオイルが担っています。なお、エンジンオイルの定期的な交換が必要な理由の1つに、オイルが受け取った熱によりオイル成分が徐々にダメージを受け、壊れることが挙げられます。
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洗浄
エンジン内部では高速で金属が触れあうことで発生する金属粉や、空気とともにエンジン内部に入り込んだ小さなゴミ、燃料の燃焼過程でできた汚れが発生します。エンジンオイルはこういった汚れを包み込み、エンジン内部を洗浄する仕組みがあります。ただし、オイルはあくまで汚れを運搬するだけで、距離を走るほどオイル自体がどんどん汚れ、オイルの性能が落ちていきます。オイルの汚れを濾すためにオイルの循環経路の途中にオイルフィルターが取り付けられていますが、フィルターに汚れが徐々に貯まってくることと、フィルターの目でとらえきれない汚れもあるため、一定以上の距離を走るとオイルとオイルフィルターを交換する必要があるのです。
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防錆
今のエンジンは部品表面にコーティングがしてあるなど、防錆・腐食対策が取られています。しかし、オイルが金属表面を潤滑し、空気に触れさせないことも防錆に大いに役立っています。エンジンでは激しい温度変化の結果、内部に取り込んだ空気中の水分が結露することがあります。こういった水分がエンジンにダメージを与えないためにも、オイルの防錆効果が重要な役割を果たしているのです。
ディーゼルエンジンのオイルは、ディーゼル専用品
2014年9月に登場したクロスオーバーからミニにもディーゼルエンジンが登場しました。ディーゼルエンジンにもエンジンオイルは使用されていますが、ガソリンエンジン用のオイルと同じではありません。オイルに求められる役割は両方とも同じなのですが、ディーゼルエンジンの燃料がガソリンではなく軽油であることから、オイルに含まれる成分が違うのです。硫黄分が含まれている軽油が燃えるとエンジン内部で酸性の物質が生成されます。これを中和するために、ガソリン車用オイルには含まれない添加物がディーゼル車用オイルには含まれています。
ミニのオイル交換サイクルについて
ミニのオイル交換サイクルは初回が2万km走行後、2回目からは3万kmごととなっています。少し前までは5000~10000㎞ごとのオイル交換が推奨されていました。では、なぜ最近のミニはオイル交換サイクルが長くなったのでしょうか。近年、世界中で厳しくなっている環境規制の高まりから、オイル交換頻度を減らし環境負荷を減らそうという意図もあります(使用済みオイルはリサイクルされ、再生オイルや重油になります)。これを実現できた理由の1つにオイル自体の性能が上がり、オイルが劣化しづらくなったことが挙げられます。
また、オイル交換サイクルの長い車の場合は専用のロングライフオイルが使用されています。通常のオイルとは含まれる添加剤が違い、長い走行距離にも耐えうるように製造されているのです。ただし、車の使用環境によってはオイルの汚れが早くなる場合があります。短い距離の運転が多い方はエンジン内で空気中の水分が結露し、オイルが水分を取り込んで乳化してしまうことがあります。また、クーパーSのようなパワーのある車の場合も高回転で走る機会が多いミニではオイルの傷みが早くなることもあります。
使用状況によっては、早いタイミングでのオイル交換が必要なことも
ミニにはオイル交換サイクルをディスプレイに表示してくれる機能があります。第1世代ミニ(R50など)ではエンジン始動直後に「何km後にオイル交換が必要か」が表示され、第2世代以降(R56など)ではオイル交換サイクルが近づくとディスプレイに表示される仕様になっています。このディスプレイ表示は走行距離とエンジンにかかる負荷を計算し表示しているのですが、オイルがどれほど汚れ、傷んでいるのかはチェックしていません。また、この交換サイクルで表示される距離はロングライフの純正オイルを使用している場合の数字で、ロングライフではないオイルを使用している場合、交換サイクルは当然ながら短くなります。
皆さんのミニの使用状況によっても交換サイクルは変わります。STOP&GOが続く街中での使用が多い場合や、高回転まで回して走るスポーツ走行が多い場合も当然汚れやすくなります。それぞれに使用状況が異なるので、できればメーカー指定のオイル交換サイクルより早い交換をオススメします。オイル量や汚れは点検などで入庫した際に簡単にチェックできます。いつでも気軽に申し付けください。
まとめ
- オイルの役割は “潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆”。劣化するとエンジンを痛めてしまう。
- 純正オイルは、専用のロングライフオイルを使用している。
- 使用状況によっては、交換サイクルが短くなることも。定期的な汚れのチェックを。
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