はじめに
エントリーモデルとはいえBMWらしい走行性能は継承
こんにちは、BMW大阪 BMW Premium Selection 城東鶴見 辻田です。前回は現行1シリーズ(F20)の中古車購入ガイドを担当させていただきました。今回はBMWのエントリーモデルとして、2004年に登場した初代1シリーズ(E87)の中古車ガイドを担当させていただきますね。VWゴルフと同じ欧州Cセグメントに属する5ドアハッチバック車で、このカテゴリーに属する多くのクルマがFF(前輪駆動)を採用しているのに対して1シリーズ(E87)はFR(後輪駆動)を採用しています。1シリーズで高コストなFRを採用できたのはシャシーなどを先代3シリーズ(E90)と共有しているからです。その結果、前後の重量配分は約50:50という理想的なバランスを実現し、BMWらしい走りの楽しさを味わうことがでるようになりました。1シリーズは2011年11月に初のフルモデルチェンジを行い、2世代目の1シリーズ(F20)にスイッチしています。現行1シリーズ(F20)は先代(E87)の譲りのスポーティで俊敏なハンドリング性能を進化させ、他のコンパクトカーとは次元の違う走行性能を実現しています。中古車の流通台数も現行型(F20)が多くなっていますが、BMWの入門車として価格的に注目なのは1シリーズ(E87)でしょう。そこで今回は先代1シリーズ(E87)の魅力と中古車購入のポイントを紹介させていただきます。
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BMW大阪 BMW Premium Selection 城東鶴見
辻田 将吾さん
34歳。BMW、MINIのセールスを担当するようになり4年目。BMW1、3シリーズを複数台、ミニの所有経験もあり、FF、FRそれぞれのコンパクトカーの魅力にも詳しい。アルファロメオ、VW、シトロエン、VOLVOなど欧州車の所有経験があり、輸入車全般に詳しい。学生時代に自転車競技の経験もある。
BMW1シリーズ(E87)のモデル変遷
BMW 1シリーズ(E87)ボディサイズ・車両重量
グレード名 | 生産期間 | 全長 | 全幅 | 全高 | 車両重量 |
---|---|---|---|---|---|
116i | 2004年9月〜2007年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,430mm | 1,350kg |
2007年5月〜2010年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,430mm | 1,370kg | |
2010年5月〜2011年9月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,400mm | 1,390kg | |
118i | 2004年9月〜2007年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,430mm | 1,360kg |
2007年5月〜2010年4月 | – | – | – | – | |
2010年5月〜2011年9月 | – | – | – | – | |
120i | 2004年9月〜2007年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,430mm | 1,370kg |
2007年5月〜2010年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,430mm | 1,390kg | |
2010年5月〜2011年9月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,400mm | 1,410kg | 135i Mスポーツ | 2005年10月〜2007年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,415mm | 1,430kg |
2007年5月〜2010年4月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,415mm | 1,450kg | |
2010年5月〜2011年9月 | 4,240mm | 1,750mm | 1,400mm | 1,480kg |
BMW 1シリーズ(E87)エンジンスペック
グレード名 | 搭載エンジン | 最高出力 | 最大トルク | JC08モード燃費 |
---|---|---|---|---|
116i | 1.6L直列4気筒DOHC | 85kW(115ps) | 150Nm(15.3kg-m) | 11.6km/L(10・15) |
1.6L直列4気筒DOHC | 85kW(115ps) | 150Nm(15.3kg-m) | 11.8km/L(10・15) | |
1.6L直列4気筒DOHC | 90kW(122ps) | 160Nm(16.3kg-m) | 13.6km/L | |
118i | 2L直列4気筒DOHC | 95kW(129ps) | 180Nm(18.4kg-m) | 12.2km/L(10・15) |
– | – | – | – | |
– | – | – | – | |
120i | 2L直列4気筒DOHC | 110kW(150ps) | 200Nm(20.4kg-m) | 12.4km/L(10・15) |
2L直列4気筒DOHC | 115kW(156ps) | 200Nm(20.4kg-m) | 11.6km/L(10・15) | |
2L直列4気筒DOHC | 125kW(170ps) | 210Nm(21.4kg-m) | 13.4km/L | 135i Mスポーツ | 3L直列6気筒DOHC | 195kW(265ps) | 315Nm(32.1kg-m) | 10.2km/L(10・15) |
3L直列6気筒DOHC | 195kW(265ps) | 315Nm(32.1kg-m) | 10.0km/L(10・15) | |
3L直列6気筒DOHC | 190kW(258ps) | 310Nm(31.6kg-m) | 10.0km/L |
3種類のエンジンはすべて自然吸気(NA)
1シリーズ(E87)に設定されているグレードは116i、118i、120iでスタートし、2005年10月に130iMスポーツが追加されました。2007年5月に内外装の変更と装備の充実を図ったマイナーチェンジを行い、この時に118iは廃止となります。その後、新型(F20)にスイッチする2011年9月まで116i、120i、130Mスポーツの3グレードが販売されました。搭載されているエンジンは116iが1.6L直列4気筒DOHC、118iと120iは同じ2L直列4気筒DOHCですが最高出力は118iが95kW(129ps)、120iが110kW(150ps)と異なる仕様となっています。ミッションは全車6ATが組み合わされました。130iMスポーツは最高出力195kW(265ps)を発生する3L直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、ミッションは6MTと6ATが用意されていました。BMWのエントリーモデルとして登場した初代1シリーズ(E87)の中古車相場の現状を見てみましょう。
BMW1シリーズ(E87) 全国の中古車在庫や人気モデルについて
100万円以下でも手に入る先代1シリーズ(E87)
1シリーズの中古車は先代(E87)、現行型(F20)の合計で約1000台(2016年1月現在)流通しています。その内約40%が先代(E87)の中古車です。そこで、まず2015年10月から直近3カ月の平均価格の推移を調べてみました。3カ月前の2015年10月の平均価格は89万円でした。その後±3万円という小幅な値動きを繰り返し、現在は3カ月前と同じ89万円となっています。これは何を示しているのかというと、いわゆる底値という状態です。底値というのは中古車価格の値落ちがひと段落している状態で、しばらくはこの価格水準で推移していきます。したがって今、先代(E87)の中古車は買いのタイミングを迎えていると言えるでしょう。中古車相場は一般的には月日の経過とともに値落ちが進んでいくものですが、この底値はいつまで続くのかは判断できません。しかし、グラフが示しているとおり、3ヶ月前に購入しても今購入しても価格が変わらないので損をした気分にはなりません。今の所、先代(E87)の中古車相場が大幅に値落ちする要素も見当たらないということも先代1シリーズ(E87)を購入するには絶好のタイミングと言えるでしょう。
狙い目のグレードは流通台数の多い116i
それではグレード構成を見てみましょう。ほかのBMWでは空力性能を向上させるエアロパーツを装備するMスポーツが人気ですが、先代1シリーズ(E87)には当てはまりません。全年式を通じて最も多いのが、116iのスタンダードモデルで、実に約53%を占めています。次いで多いのが販売期間の短かった118iのスタンダードモデルで11%、そして120iのスタンダードモデルが続きます。Mスポーツパッケージでも116iが圧倒的に多く約8%、パワフルな3Lエンジンを搭載した130iは約6%となっています。この流通台数の傾向から見えてくるのは先代1シリーズ(E87)が、従来のBMWユーザーだけでなくほかの自動車メーカーからの乗り換えユーザーを獲得したということです。走行距離は5万~7万kmが最も多く、続いて4万~5万km、そして3万~4万kmとなっています。今回は予算100万円で走行距離5万km以下の116iに絞って中古車を探してみましょう。車両本体価格100万円、走行距離5万km以下の116iという条件で探してみると79台もヒットします。しかもディーラー系販売店に限定すると全国で13台まで絞ることができます。ボディカラーは黒やグレー多く、青、シルバーはわずかにある程度、白はありませんでした。
最後に
予算100万円でも走行距離の少ない後期型が手に入る
この価格帯なので、年式が進んだ前期型が中心と思いがちですが、圧倒的に2007年5月のマイナーチェンジ後のクルマが多く、中には直噴エンジンとなり燃費性能が向上した2010年5月以降のクルマもありました。装備が充実しているクルマも多く、キセノンヘッドランプやナビゲーション、本革シートやサンルーフまで装着した物件もあります。今回オススメする116iに搭載される1.6L直列4気筒エンジンはとにかく高回転まで回したくなる楽しいエンジンです。シルキー6と呼ばれた直列6気筒エンジンとはフィーリングが異なりますが、アクセルに対して素早く反応して鋭い吹け上がりを見せてくれます。しかも1シリーズ(E87)は国産車ではもちろん、輸入車でも数少なくなったFR車です。軽量なボディと反応が鋭いエンジンを搭載した先代1シリーズ(E87)の軽快な走りは、どんな場所を走っても他のブランドでは味わえないほどの楽しさを感じられるでしょう。1シリーズ(E87)のボディサイズは全長4240mm×全幅1750mm×全高1430mmで、有力なライバルである5代目ゴルフは全長4225mm×全幅1760mm×全高1495mmと全幅が10mmほどの1シリーズ(E87)ほうが小さくその分取り回しも良くなっています。そんな楽しい走りを味わえる上に取り回しの良い先代1シリーズ(E87)の中古車が、予算100万円でもじっくり選ぶことができるのです。初めての1台として購入したら、BMWに目覚めてしまうかもしれませんよ。
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