MINI タイヤ・エキスパートに聞く!! ミニに最適なタイヤとは？

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皆様、はじめまして、MINI奈良の谷口と申します。CLUB CARSさんの依頼を受け、今回「ミニのタイヤ選び」を担当させていただくことになりました。ミニに限らず、あらゆる乗り物にとって、タイヤは非常に重要な役割を担っています。車のような、スピードを出して走る乗り物が地面と唯一接しているのがタイヤです。

ミニの場合、DSC（ダイナミック・スタビリティ・コントロール）のように車の姿勢制御をコンピューターでサポートするシステムが搭載されていますが、万能のシステムではありません。タイヤが充分に性能を発揮している状態であるほど危険な状況に遭う可能性は少なくなりますし、運転していてもミニらしい楽しさが味わえます。

そこで、今回はタイヤが果たす役割と純正で指定されているタイヤの位置づけ、ミニのタイヤ選びではどのようなことに気をつければいいのか、などを説明させていただきますね。

目次

1. タイヤの役割
2. タイヤサイズ
3. タイヤの種類
4. タイヤブランド
5. 純正タイヤ
6. MINIのタイヤ選び

タイヤの役割

タイヤには4つの役割がある

まずはタイヤがどのような役割を果たしているのか、簡単に紹介しておきましょう。タイヤが担う役割は大きく分けて4つあります。

役割1：車の重さ（車体やドライバー、同乗者を含めた重さ）を支えること

たった4本のタイヤで1,200㎏を超える重量を支えます（しかもこれにドライバーや同乗者、積載物の重量も加わります）。1本のタイヤで、300㎏以上の重量を支えているワケですね。

役割2：走ったり停まったりする車の力を地面に伝えること

アクセルを踏んだことで発生する力がタイヤに伝わり、タイヤが転がることで力が路面に伝えられます。また、ブレーキを踏んだ際の制動力はタイヤが地面と摩擦することで路面に伝えられています（だからタイヤは摩擦力が強いゴムでできています）。

役割3：まっすぐ進んだり曲がったり、進行方向を決めること

タイヤはハンドル操作に応じて進行方向を維持したり、向きを変えたりします。

役割4：路面からの衝撃を和らげること

路面の凸凹などからの衝撃を吸収する役割も担っています。タイヤが柔らかいゴムでできていたり、内部に空気が入ったりしているのは衝撃を吸収する役割も持っているからですね。

タイヤサイズの見方

チェックポイントは6項目

次にタイヤのサイズの表記の見方についても紹介しましょうか。ミニ3ドアや5ドアのONEやクーパーには以下のようなサイズのタイヤが標準で採用されています。

1. タイヤの横幅。単位はmm（ミリ）。一般的に幅が広くなるほど地面との接地が増し、グリップが良くなりますが、接地面が大きすぎると転がり抵抗も増えます（後で説明しますね）。
2. 扁平率。タイヤの幅とタイヤの上下の厚みの比率を表す数字です。上下の厚み÷タイヤ幅×100で計算します。この数字で乗り心地重視のタイヤや運動性能重視のタイヤなどの判断ができます。65は性能バランスがいいタイヤ。数値が大きくなると乗り心地のいいタイヤ、数値が下がると運動性能がいいタイヤだとご判断ください。
3. タイヤ構造を示します。Rはラジアルを意味しますが、ミニ用のタイヤはすべてラジアルタイヤで、ここはあまり気にする必要はありません。
4. ホイールの直径。インチ表記（1インチ=2.54cm）で表しています。皆さんのミニにあったタイヤを選ぶ際に、この数字とタイヤ幅を確認してください。
5. ロードインデックス（どれだけの重さに耐えられるのかを表す数値）。数値が大きいほど重い車を支えられるタイヤです。
6. 速度記号。そのタイヤで走行できる最高速度を表しています。Hは210㎞/h、Vは240㎞/h、Wが270㎞/h、Yは300㎞/hを指します。

タイヤには製造年と製造週が必ず表示されています

タイヤのサイドにはタイヤの製造年、製造週がわかる4ケタの数字が記載されています。例えば「0514」と記載されていた場合、2014年の5週目に製造されたことになります。この数字を確認すれば、あまりに古いタイヤの購入をさけることができます。

保管状況にもよりますが、タイヤは製造から4～5年を超えると劣化が始まります（タイヤのサイドにゴムのひび割れが始まると劣化し始めた証拠です）。タイヤメーカーは製造から5年を超えるタイヤはプロの目によるチェックを推奨し、製造から10年を超えるタイヤは新品への交換を推奨しています。

タイヤは走行することで摩耗しますが、直射日光や水、熱、油分などにでさらされることでも劣化しますので、コンディションが下がったタイヤはまだ溝が残っていても交換しましょう。劣化したタイヤはグリップが落ちるので危険ですよ。

タイヤの種類

最近流行りの「低燃費タイヤ」って？

最近、TV CMなどで低燃費タイヤという言葉をよく聞きますよね。ゴムでできているタイヤはゴロンゴロンと転がる際に地面との摩擦力を発生し、ブレーキを効かせる際にはこの摩擦力が性能に大きく影響しています。一方、地面との摩擦力はタイヤがスムーズに転がる際の抵抗にもなっています。この「転がり抵抗」を軽減することで燃費が向上するんです。

「転がり抵抗」が軽減されると摩擦力が小さくなり、ブレーキの効きが悪くなるように思えますよね…。しかしタイヤメーカー各社はブレーキの効きが悪くならないよう、材質や溝の形状などに工夫を凝らし、低燃費と制動力を両立させようと努力をしています。ちなみにタイヤの空気圧が低くなっているとタイヤが変形し、路面との接地面が増え、「転がり抵抗」も大きくなってしまいます。空気圧の管理は燃費やタイヤの摩耗度合にも影響しますので、定期的にチェックすることをオススメします。

ランフラットタイヤって何？

現在はメーカーオプションで設定されている、パンクをしても一定の距離ならパンクしたまま走行できるように設計されたタイヤです。2010年頃までは16インチ以上の純正タイヤはすべてランフラットタイヤでした。

ランフラットタイヤはタイヤのサイドウォール（左右の縁）部分が強化されており、パンクをして空気が抜けた後もサイドウォール部分で車の重量を支えます。パンクをしても気づかないほどスムーズに走行できてしまうので、ランフラットタイヤを装着したミニでは、タイヤの空気圧の警告灯が点いた場合はタイヤのパンクを確認してください。ランフラットタイヤはあくまで「パンクをしてもしばらく走ることができる」のであって、そのまま何百㎞も走行するのは危険です。80㎞圏内でタイヤ交換ができる場所を探すようにしてください。

以前のランフラットタイヤはパンクをしても250㎞ほど走ることができる仕様でしたが、タイヤが硬く、乗り心地がイマイチだったため材質などを見直し、現在はパンクして走ることができる距離は80㎞に制限し、乗り心地とのバランスが取れたタイヤに変わってきています。なお、ランフラットタイヤはサイドウォールが非常に硬いため、脱着には専用のタイヤチェンジャーが必要になります。

一般的なガソリンスタンドでは作業できないことが多いので、万が一の場合はMINI エマージェンシー・サービス（0120-56-5532 24時間、年中無休）に電話し、最寄りのディーラーを確認してください。

タイヤブランド

タイヤメーカーによって性能に違いはあるの？

メーカーによって特許技術に違いはあります。ただ、ミニに純正で採用されているようなタイヤは、BMWが求めるクオリティを必ずクリアしています。ですから、ミニ純正の「★」印がタイヤについていればメーカーによるタイヤ性能の差は皆さんが思っているほどではありません（純正指定されていないタイヤの場合は別です）。BMWの場合、新車を開発し、テストする際に純正指定される予定のタイヤも同時にテストされます。性能や快適性、経済性、安全性のすべてがテストされ、高速走行時にわざとパンクさせるなどの厳しいテストも課されます。このすべてをクリアしたタイヤだけに純正の「★」印がつけられるんです。

ミニは運動性能を重視するため、国産メーカーと比べるとサスペンションが硬く設定されています。純正タイヤの選別に際してもサスペンションと同様にミニの運動性能を活かすタイヤをメーカーは求めています。そのため、国産車にはピッタリなタイヤでも、ミニの場合はタイヤの材質や柔らかさが合わないこともあります。

また、ミニの純正タイヤはいつも複数社が指定されていますが、これはヨーロッパの厳しい独占禁止法が影響しているようです。一定の品質をクリアするタイヤを複数採用し、生産時期によって装備されるタイヤが変更されるんです。注文したミニにどのタイヤが採用されるのかは…残念ながらディーラーのセールスコンサルタントにはわかりません。

コラム

ディーラーで4本セットでタイヤを交換していただいた場合、MINIによる1年間のタイヤ補償サービスが受けられます。万が一、タイヤがパンクをしても1本のタイヤに限り、限度額5万円の範囲内でタイヤ補償が受けられます（タイヤ補償が受けられるのは保証期間内で1度限りです）。お客様負担が5,000円ありますが嬉しいサービスですね。

純正タイヤ

純正指定されているタイヤ一覧

では、下記に2015年3月現在にミニに純正指定されている、「★」印付きのタイヤリストを掲載します。表にある転がり抵抗、ウェットグリップのアルファベットは、ヨーロッパで義務化されている「EU Tire Label」という制度に基づいて認証された評価です。「転がり抵抗」はタイヤが路面を転がる際の抵抗が少なく燃費に優しいという意味、ウェットグリップは濡れた路面などの悪環境でもしっかりとブレーキが効くことだと思ってください。

なお、評価はA～G（※）まで分かれていますが、大前提としてどのタイヤもBMWのテストコースで厳しい評価を受け、純正タイヤに指定されていることを忘れないでください。その上で低燃費、ウェットグリップでどのようなバランスが取られ、個性が作られているかを知るための参考値です。

転がり抵抗はA,B,C,E,F,Gの6等級、ウェットグリップはA,B,C,E,Fの5等級で表示されます。

ミニ3ドア（F56）、5ドア（F55）用の純正タイヤ（★付）一覧

第2世代ハッチバック用の純正タイヤ（★付）一覧

クロスオーバー、ペースマン用の純正タイヤ（★付）一覧

MINIのタイヤ選び

タイヤ選びは、ミニの運動性能に大きな影響があります

ディーラーでは★印がついた純正タイヤ、もしくはBMWが推奨するタイヤのみが在庫されていますが、タイヤサイズだけで見ると1つのサイズに数十種類以上のタイヤが流通しているはずです。ハイグリップな高級タイヤから性能の低い格安タイヤまでが販売されていますね。中にはいろいろな理由があって、安く販売されているタイヤもあるでしょう。

皆さんにご理解いただきたいのは、ミニは運動性能に妥協せず開発されている車だということです。タイヤは車の性能に大きな影響を及ぼします。性能が低いタイヤを選んでしまうと、ミニの性能が存分に発揮できないかもしれません。低燃費やグリップ、室内の快適さ…タイヤ選びにはいろいろな判断基準があり、どういったタイヤが好みなのかは複数のタイヤを使い分けて判断するしかないでしょう。

現行車にお乗りの方はディーラーで別のタイヤを履いた試乗車に乗ってみると、タイヤによる乗り味の違いがわかるかもしれませんね。ただ、タイヤにこだわるのは知識や経験が必要なので、よくわからない場合は経験豊富なミニのセールスコンサルタントにご相談ください。曖昧なイメージでもお客様にピッタリなタイヤをご提案させていただきます。